著者のコラム一覧
渡邊靖弘

日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員、日本伝統鍼灸学会理事、和ら会会員、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師。

東洋医学における「肩凝り」の治療法は?まずは原因を探る

公開日: 更新日:

 多くの方が経験する肩凝り。東洋医学では肩凝りや腰痛、五十肩のようなものを総称して「痺証(ひしょう)」といいます。痺とは「つまって通じない」という意味があり、鍼灸で対応することが一般的です。

 患者さんが肩凝りを主症状として訴えた時、これは西洋医学でも同じですが、まずはどんな原因で起こっているものかを探ります。大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、「気・血・水」の通り道である「経絡」の通りが悪くなったパターン。2つ目は、栄養物質が不足しているパターンです。どちらに属するかで、対処法が異なります。

 経絡の通りが悪くなっているパターンでは、肩凝りの痛みは比較的強い傾向があります。痛みが生じている場所の経絡の流れをうながすため、腕に鍼灸治療などを行います。一方、栄養物質が不足しているパターンでは、痛みは弱め。ただ、倦怠感などがあるのが特徴で、体を元気にする全身のツボに施術を行います。

 もう一点、私たちが念頭に置いているのは「人によって肩という部位の範囲がまちまちである」ということ。

 肩甲骨の内側までを肩と認識している人がいれば、肩甲骨の上側だけが肩、あるいは首の付け根までが肩と認識している人、さらに肩甲骨の外側から腕の付け根までの広範囲を肩と認識している人など、さまざまです。

 そのため東洋医学では、肩凝りを、首を中心とした頚肩部の痛みに限定しているものと、頚肩部のみならず、腕まで痛みを訴えるものの2つに分けています。

 そしてその痛みが頚肩部に集中している場合は、筋肉や関節に問題があると考えますが、もしも左肩にある場合は心臓疾患、右肩にあれば胆嚢や肝臓疾患の可能性があり、注意が必要です。

 いずれにしても「肩や首が動かない」「しびれるなどの症状がある」「激しい痛みがある」といった3つに当てはまる場合は、筋肉や関節の問題ではなく、内臓の病気、それも重大病による痛みの可能性があります。東洋医学、西洋医学どちらでも構いませんので、病院で検査を受けることをお勧めします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ