東洋医学における「肩凝り」の治療法は?まずは原因を探る
多くの方が経験する肩凝り。東洋医学では肩凝りや腰痛、五十肩のようなものを総称して「痺証(ひしょう)」といいます。痺とは「つまって通じない」という意味があり、鍼灸で対応することが一般的です。
患者さんが肩凝りを主症状として訴えた時、これは西洋医学でも同じですが、まずはどんな原因で起こっているものかを探ります。大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、「気・血・水」の通り道である「経絡」の通りが悪くなったパターン。2つ目は、栄養物質が不足しているパターンです。どちらに属するかで、対処法が異なります。
経絡の通りが悪くなっているパターンでは、肩凝りの痛みは比較的強い傾向があります。痛みが生じている場所の経絡の流れをうながすため、腕に鍼灸治療などを行います。一方、栄養物質が不足しているパターンでは、痛みは弱め。ただ、倦怠感などがあるのが特徴で、体を元気にする全身のツボに施術を行います。
もう一点、私たちが念頭に置いているのは「人によって肩という部位の範囲がまちまちである」ということ。
肩甲骨の内側までを肩と認識している人がいれば、肩甲骨の上側だけが肩、あるいは首の付け根までが肩と認識している人、さらに肩甲骨の外側から腕の付け根までの広範囲を肩と認識している人など、さまざまです。
そのため東洋医学では、肩凝りを、首を中心とした頚肩部の痛みに限定しているものと、頚肩部のみならず、腕まで痛みを訴えるものの2つに分けています。
そしてその痛みが頚肩部に集中している場合は、筋肉や関節に問題があると考えますが、もしも左肩にある場合は心臓疾患、右肩にあれば胆嚢や肝臓疾患の可能性があり、注意が必要です。
いずれにしても「肩や首が動かない」「しびれるなどの症状がある」「激しい痛みがある」といった3つに当てはまる場合は、筋肉や関節の問題ではなく、内臓の病気、それも重大病による痛みの可能性があります。東洋医学、西洋医学どちらでも構いませんので、病院で検査を受けることをお勧めします。