腹腔鏡手術の登場と麻酔薬の進歩で盲腸・脱腸手術が入院不要に
ただ、日帰り手術を成功させるためには、患者さん側の協力が不可欠。手術前日に入院し、病院側が患者さんを管理する通常の手術とは異なります。特に手術当日の、患者さんによる食事管理は必須となります。
基本的に、その日の朝は水とお茶以外の摂取は厳禁。これは、手術中や術後の嘔吐反射を防ぐため。もし、「朝、コーヒーを飲んでしまいました」「ご飯はダメっていわれたから、あんぱんを食べてきました」なんていう場合は、その日の手術を取りやめることもあります。
中には、朝うっかり食べてきてしまい、しかし私たちの問診では「食べていません」と答えて施術を受ける方もいますが、その場合は麻酔が覚めてから、嘔吐反応を起こし誤飲し、肺炎の心配があるからと、経過観察のために入院という本末転倒なことになるケースもあります。
腹腔鏡手術の最大のメリットは、キズが小さいため痛みも少なく傷の治りが早いということ。しかし、メリットを最大限生かすも殺すも、患者さん次第。治療への理解、そして自分の手術に主体的に参加するという意識が、入院による手術以上に欠かせないのです。