著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

内服薬の“危険な飲み方”には要注意…誤嚥して窒息する可能性も

公開日: 更新日:

 錠剤やカプセル、粉薬といった内服薬を水と一緒に服用する際、飲み込み方や姿勢を意識したことはあるでしょうか? 内服薬を飲み込むとき、顔を上に向けて“ごっくん”している方を見かけます。特に高齢者でそういった方が多いような印象です。じつはこの飲み込み方はとても危険なのです。

 われわれは何か物を食べるとき、モグモグしながら舌の上で食べ物の団子=食塊を作っています。そして、いよいよ飲み込むというときには、食塊が誤って気管に入ってしまわないように喉頭蓋という部分で気管に蓋をしています。ごっくんするときに喉に触れてみてください。喉仏が動くのがわかると思いますが、これは喉頭蓋が気管に蓋をしている動きなのです。唾液や食物などの異物が気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」といい、この動きは誤嚥を防ぐためにとても重要なものとなります。

 内服薬を飲むときに顔を上に向けるというのは、口から喉までを一直線にすることで内服薬を飲み込みやすくしようとしていると考えられます。特にクスリの服用が苦手な人は、こういった姿勢になりやすいのではないでしょうか。これがなぜ危険なのかというと、口から喉までが一直線になると、急激に内服薬が喉に流れ込んでしまうことで喉頭蓋が気管を塞ぐ動きが間に合わなくなってしまい、誤嚥のリスクが高くなるためです。最悪の場合、窒息の可能性もあるほど危険なのです。

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