切除不能の「ステージ3肺がん」は最新の免疫放射線療法で根治へ
副作用の慎重な管理が重要
期待の大きい治療だが、副作用もある。PACIFIC試験でイミフィンジ投与グループには、約20%に有害事象が表れた。主なものは咳、倦怠感、呼吸困難、放射線性肺炎だ。
イミフィンジは、化学放射線療法後に、病状が悪化していない人が対象になる。「その恩恵を受けるには、化学放射線療法の副作用を慎重に管理して、最小限に抑えてイミフィンジにつなげることが重要」で、そのためには「放射線治療医が充実した施設で治療を受けることが大切です」という。
気になる医療費は、どうか。国立がん研究センター中央病院の入院費概算一覧表によると、肺がんの化学放射線療法は平均で74万3600円(食事代や差額ベッド代、タオル代、その他自費負担分は含まず)。3割負担で大体22万円ほど。イミフィンジは、1回ごとに体重1キロ当たり10ミリグラムを投与するため、体重60キロだと約50万9000円、3割負担で約15万円で、2週間に1回、最大1年投与するから、医療費は毎月約30万円に上る。
しかし、いずれも保険適用されていて高額療養費制度の対象のため、毎月の自己負担額は軽減される。その自己負担の限度額は、年齢や所得によって計算式が異なる。詳しい計算方法は割愛するが、たとえば、70歳以上75歳未満で「一般所得者」の場合、入院と外来の医療費は最大5万7600円。1年間に3回限度額に達すると、多数該当になり、4回目からはさらに4万4400円に減額される。保険外の食事代などは別途かかるとはいえ、この負担軽減は魅力。最新治療が適用になる人は、安心して受けるべきだ。