「死ぬ時は死ぬ時。新たな検査は嫌」患者さんの本心は…
基本的に患者さんの自宅に上がり込み、患者さんとご家族の生活の中に入り込まなければ成り立たない在宅医療は、患者さん側と診療所側の双方が十分に納得しあわなければ成立しません。
ですが患者さんの中には、なんらかの理由によりその気がなかったり、そればかりかご本人は在宅医療を拒否しているのにご家族の意向で始めたといったケースもあるのです。その場合も私たちは、患者さんにどのような選択がより良い療養となるのかを考え、包括的に判断するようにしています。時にそれが在宅医療ではなく、入院や通院がより良いと判断することも。そういう場合も丁寧に説明しています。
この春から私たちの診療所で在宅医療を開始した50歳の女性。子宮がん末期、うつ病、がん性疼痛を患っておられ、妹さんと同居されています。
昨年の9月に子宮体がんの出血性ショックで大学病院に搬送され、輸血の処置を受け、精査のため入院を勧められたとのこと。しかし「海外に行くから」と精査もせず退院。その後、通院していませんでした。
それがある日、妹さんが当院に突然来られ、在宅医療を申し込まれたのでした。