前立腺がん治療最前線…がんだけを狙い撃ち、尿失禁ゼロの先進医療
HIFUでは、強力な超音波で細胞を破壊する。実は、HIFU自体はそう新しい治療法ではない。日本や諸外国で1999年から行われるようになったが、当時は前立腺全体への治療で、尿道狭窄が生じて排尿が困難になるという課題があり、存在感が薄れていったという。HIFUの「狙い撃ち」という特徴を最大限に生かせられるようになったのは、治療機器の技術や生検技術が向上したからだ。
「『前立腺がんか、あるいは正常か』ではなく、『どこに、どのくらいの大きさのがんが、どの程度の悪性度で存在するのか』まで診断できるようになったのです」
前立腺がんが治療に至る一般的な流れは、「PSAという腫瘍マーカーが高値↓前立腺に数カ所針を刺し組織を採取。顕微鏡で観察(生検)↓がんなら標準治療の外科手術または放射線治療」。ここに課題がある。
「生検で針を刺していない場所にがんがあると、がんを見逃されるリスクがある。熟練した医師でも、そのリスクは一定数あります」
■先進医療認定で自己負担額が減る