正しい「嚙み合わせ」は健康寿命を延ばす 高齢でも放置してはいけない
「日本では、30~50代の約8割、60代以上の約9割が歯周病を患っているとされています。歯周病は歯を失う一番の原因で、実際、80歳で自分の歯が20本以上ある人は5割程度と少ない現状です」
歯周病は、認知症、がん、心臓病などさまざまな病気の発症リスクを高めることが知られているが、近年、注目されているのが脳梗塞との関連だ。最近の研究で、歯周病の人は脳梗塞を発症させる確率が2.8倍高いと報告されている。歯周病が進行すると歯周病原因菌や炎症系の細胞が血流に入り込み血液を凝固させて血流の流れを悪くし、脳梗塞を引き起こす可能性が高くなる。
「歯周病の治療で当院を受診していた70代の患者さんは、定期的な診察を受けずに診療を放置した状態でした。その結果、脳梗塞を発症し重い後遺症が残ってしまったのです。若い頃から噛み合わせが悪く、歯周病を放置している人が病気になると、予後が悪い傾向にあるので悪化させないためにも定期的に歯科を受診するのが大切なのです」
噛み合わせや顎関節の不快症状を改善するには、睡眠時のマウスピースの装着が有効だ。