年間1万6300人超ペース「梅毒」が引き起こす「目」の病気…視力障害の引き金に
中でも多いのが目の中に炎症を起こす病気の総称である「ぶどう膜炎」で、視神経炎、硝子体炎といった後眼部病変が目立つ。
「症状は両目に現れることが多く、充血、視力低下や視野欠損、かすみ目、飛蚊症、羞明が起きることが知られています」 梅毒によるぶどう膜炎で多いのは、目の奥に位置する網膜や脈絡膜に炎症が起きる網脈絡膜炎で、この病気は硝子体炎を伴い、徐々に大きな病変になるという。
「急性梅毒性後部プラコイド脈絡網膜炎では網膜中央の黄斑部に黄白色病巣を来し、これはかつてHIV感染を合併した梅毒患者に特徴的な病態とみられていました。しかし、いまはHIVとは関係なく、梅毒性眼疾患に特徴的な病態と考えられています」
■疑いがあれば眼科医に知らせる
梅毒は病期による分類がなされているが、梅毒性眼疾患も臨床症状から病期や感染時期をある程度推測が可能だといわれている。
「母親からうつされる先天梅毒では生後3カ月ごろまでに眼底に網脈絡膜炎を生じます。乳幼児期は虹彩炎や涙嚢炎など、また学童期以降では角膜実質炎なども生じ、生涯にわたり角膜実質炎混濁を残すことがあります」