石原藤樹
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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

糖尿病の治療を止めると認知症が増える? 治療薬に予防の可能性

公開日: 更新日:

 糖尿病認知症のリスクであることが知られています。糖尿病のコントロールが改善することは、認知症の予防にもつながるのです。ただ、糖尿病の治療薬にも多くの種類があり、その中には重症の低血糖を起こして、脳にダメージを与える可能性のある薬もあります。

 それでは、認知症の予防に有効な糖尿病の治療薬はあるのでしょうか? その可能性のある薬として指摘されているのがメトホルミンです。

 メトホルミンは古くから使用されている糖尿病の飲み薬ですが、インスリンの効きを良くする作用などがあり、認知症にも予防的に働く可能性が指摘されています。

 今年の米国医師会関連の医学誌に興味深い研究結果が報告されました。メトホルミンでの治療を行っていて、何らかの理由により中断した1万2000人余りの患者を、そのまま継続した患者と比較したところ、中断することによりその後の認知症のリスクが、2割以上増加していたのです。

 細かい分析の結果、そのリスクの増加は血糖のコントロール状態とは無関係であったことも確認されました。つまり、メトホルミン自体に認知症の予防効果がありそうなのです。

 この結果は糖尿病の患者に限定されたものである点には注意が必要ですが、メトホルミンの治療の継続は認知症の予防にもつながる可能性がありそうです。

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