クスリの「代謝」を行う肝臓の機能が低下すると作用が強く出る危険
疾患や生理機能の低下以外にも代謝に影響する要素はいくつもあります。代表的なものが「アルコール」と「他のクスリとの相互作用」です。クスリと同様にアルコールも肝臓で代謝されるため、アルコールとクスリを同時に摂取すると肝臓の機能はアルコールの代謝も行わなければならなくなり、クスリの代謝が十分にできなくなる可能性があるのです。高齢者の場合はここに生理機能の低下が加わるので、クスリを安全に使用するためにもアルコールの摂取は極力避けたほうがよいでしょう。
相互作用に関しては、同じ代謝酵素によって代謝を受けるクスリを複数種類併用すると、それぞれの代謝が低下してしまうので、やはり作用が強く出たり副作用のリスクが高くなります。また、クスリの中には代謝酵素を誘導する(たくさんできるようにする)ものもあり、その影響で他のクスリの作用が弱まってしまう場合もあります。
「ADME」の中で代謝はとても重要なものであり、またとても複雑なものでもあります。クスリの中には食べ物に制限がかかるものがありますが、そのほとんどは食べ物の成分によってクスリの代謝が影響を受けるためです。
多くのクスリは代謝されると、いよいよ最後の「排泄」に移っていきます。次回、詳しくお話しします。