悲しくないのに…高齢者に多い「涙が止まらない」目の病気
分泌性流涙症には、結膜炎のほか、スギ花粉症に代表されるアレルギー性結膜炎や、眼瞼内反症(逆さまつげ)などが潜んでいる場合もある。一方、導涙性流涙症では、高齢者の場合には特に結膜弛緩症が隠れていることも多いという。
「結膜とは白目を覆う薄い膜のことで、適度のゆるみがあることで眼球を運動しやすくできます。ただし、この弛緩が強まると、眼球表面の涙の移動が妨げられて適切に涙点から排出されづらくなり、涙があふれるのです。中には、余った結膜が茶目の上に掛かって違和感が出るケースもあります。なお、結膜弛緩症はドライアイとの合併率が高いことも知られています。涙が目全体を自然に覆うことができなくなるからです。治療は弛緩結膜を切除するなどの処置を行うか、ヒアルロン酸や抗炎症薬などを使って症状改善を目指します」
導涙性流涙症には、加齢、眼外傷、副鼻腔炎などによる涙道狭窄もしくは閉塞などが隠れているケースもある。この場合は、既存の鼻涙管の詰まりを取るか新たな排水路を作る手術を行うことになる。
人が受け取る情報の8割は目から得るという。その障害は人生を損なうことに直結する。「たかが涙」「加齢だから仕方ない」などと思わず、できるだけ治療することだ。