「ギャンブル依存症」体験記(4)抜け出せたきっかけは「禁煙」だった
すると、なぜか麻雀やパチンコをやっても、まったく興奮しなくなったのです。ハラハラ、ドキドキしない。だから、楽しくない。楽しくないのにやるバカはいません。いつの間にか、気が付いたら雀荘に行かなくなり、平穏な日々を送っていました。
「もうギャンブル依存症に陥ることはない」と言い切れる自信があります。今も3年に1度くらいはパチンコ店に入ることもあるんですよ。でも、やってもつまらない。それに、もう一回同じことを繰り返すなんて、時間がもったいない。どうせやるなら、別のことを楽しみたい(笑)。
ギャンブル依存症になる人って、物欲がない人だと思うんです。物を買って所有するより、お金を道具にして遊びたい、と考える人。結局、お金に“恨み”があるのだと思います。お金がないせいで苦労した経験があるから、お金を稼いでも貯め込むより、遊んでパーッと使ってやりたいんです。
私の場合、両親に「カネがある人間が勝ちだ」など、カネ、カネと言われて育ち、それに対する反発がありました。両親は私の教育のためにお金を使ってくれず、「中卒で働け」と。ならば、と私は自力で働きながら高校に通ったんです。
ギャンブル依存症が進み、自殺に追い込まれる人もいます。私も死んで借金地獄から逃げたくなる気持ちはわかります。ただ、私は「カネで死んだらバカだ」とも思っていました。おかげで死なずにすみました。=おわり
(構成=中野裕子)