過敏性腸症候群でもう悩まない(3)30代男性は周囲に打ち明けられた安堵感から腹痛が減少
日々、IBS患者の診療を行う「おりたメンタルクリニック」院長の織田宗太郎氏はこう話す。
「お腹の不調はデリケートな話題なので、この男性のように堂々と周囲に打ち明けられるケースは、かなりまれと言えます。とりわけ下痢型の人は、急な便意で仕事に支障を来しやすく、人によっては仕事を辞めたり、自分のタイミングでトイレに駆け込めない接客業などの仕事から、在宅ワークができる別の職種に転職される方が少なくありません」
ほかにも腸管内のガスにより腹部膨張感やオナラの症状を訴える「分類不能型」の場合、「腹鳴の音が周囲に聞こえているのではないか」「すれ違った人が鼻をすすったのは、自分のオナラが臭っているからに違いない」と、他人に迷惑をかけていると思い込み、対人関係が困難になる自己臭妄想に陥るケースも少なくないという。
「分類不能型も下痢型と同様に、特有の症状から抑うつ状態を引き起こし、不登校や退職につながりやすい。実際はご自身が考えるより症状が軽い場合も多いので、ひとりで抱え込まず医師に相談し、症状に合った治療を受けてください」(織田氏) (つづく)