著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

会社員時代は経理担当で几帳面な性格の78歳男性。認知症を発症した今も…

公開日: 更新日:

 この患者さんは認知症の初期の段階で、もともとの性格か、じっとしていることが苦手。不整脈や糖尿病などといった慢性疾患を患っています。

 お聞きすると、会社員時代は経理を担当し、数字を細かく確認することが得意だったとのこと。几帳面な性格に仕事の習性も加わり、家計簿の数字を定規で書きそろえたり、全てのレシートをコピーしたりするほどだったそうです。

 それがいまは、自分でやろうとしても、うまくできない。我慢できずに奥さんや息子さんに強要するようになり、家族の方も独特な介護疲れを感じているとのことでした。

「これはボク個人の電話番号で個人情報なので、他言しないように。今言った電話番号を読み上げてごらん」

「あなた何歳なの? 若いね、まだ社会に出て3年目なのね。もう少しスムーズに案内できるようになったら、もっといいと思うよ」

 病気により、これまでのことができなくなった今でも、元の性格が色濃く出ているのは、彼が自信を持って仕事に取り組んでいたことの証拠のように感じます。

 自分らしく生きようとする自尊心は誰でも持っていると、私は思うのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動