「オピオイド」は死期が近いケースで使われる…は大きな誤解
さて、みなさんは医療でオピオイドというと何を思い浮かべますか? おそらく多くの方が「がんに伴う痛み」に対して使われていると思うでしょうし、それで大きく間違ってはいません。一方で、がんはがんでも「死期が近いときに使われる」と考えている方も多いかもしれません。しかし、それは誤りです。
がんによる痛みの治療は、がんのステージに関係なく行われます。なぜなら、痛みはわれわれにとってストレスでしかないからです。いきなりオピオイドが開始されることはまれですが、非オピオイド性鎮痛薬で効果が十分に得られない場合は、早期からオピオイドが併用される場合も十分にあります。ですので、オピオイド=死期が近いという考えは誤解だということをぜひ知っておいてください。
ちなみに慢性疼痛に適応があるオピオイドもあり、がんでなくても処方されます。痛みはないに越したことはないので、場合によってはオピオイドをうまく利用していくことも重要なのです。
少し余談になりますが、コデインリン酸塩もオピオイドに含まれますが、こちらは主にせき止めとして用いられ、含有量(濃度)が少ないものは市販のせき止めとしても使われています。オピオイドは意外と身近にあるんですよ。