著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

こむら返りにはビタミンKが効く? 摂取で週2回以内に低下

公開日: 更新日:

 足の筋肉が硬くなって痙攣し、激しい痛みを伴う「こむら返り」は、多くの人が経験するとても不愉快な症状です。海外の統計によると、世界中の半数以上の人は、その一生の中で一度はこむら返りを経験しているそうです。

 そこまで多いこむら返りですが、実際には確実に効果のあるという予防法や治療法は確立していません。日本では芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬が使用されることが多く、一定の効果があることは事実ですが、すべてのこむら返りに効果があるというわけではありません。科学的に証明された、もっと確実な治療法はないのでしょうか?

 今年の米国医師会の内科専門誌に、興味深い研究結果が報告されています。ビタミンK(ビタミンK2)は骨の健康に必要なビタミンの一種で、そのため骨粗鬆症の治療薬としても使用されている成分です。このビタミンKには、筋肉の緊張を緩めるような作用があることが報告されています。そこで今回、ビタミンKのサプリメントを使用して、こむら返りへの効果が検証されました。

 中国でこむら返りを繰り返している、65歳以上の199名を対象として、ビタミンKのサプリメントを飲んでもらったところ、飲まない場合と比較して、こむら返りの回数は週に2回以上低下し、その重症度も低くなっていたのです。

 こむら返りの予防と治療には、ビタミンが有効であるのかもしれません。

【連載】医者も知らない医学の新常識

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