不妊外来から見える治療の現状(4)年齢の壁…2人目ができない“2人目不妊”
こう話すのは、生殖医療専門医の大石元・国立国際医療研究センター産婦人科診療科長です。
女性の平均初産年齢が31歳(23年厚生労働省調査)と高くなっているため、2人目を出産するのは30代半ば頃になります。治療開始を早めなければならない年齢なのです。
ところが、一度妊娠出産していることで、自分は大丈夫だと思い込む人が少なくないそうです。冒頭で紹介した女性は自分の体験をこう語ってくれました。
「つくろうと思えばいつでもできると信じ込んでいたが、なかなかできないので30代半ばで治療を始めました。治療すれば簡単にできると思っていたのにそれも甘かった。検査では夫婦とも異常はなかったのに、何度か人工授精してもだめで、さすがに焦りました」
彼女は37歳でようやく出産にこぎつけましたが、不妊治療には「年齢の壁」があることを痛感したそうです。
「女性は年齢による卵子の質の低下、卵巣機能の低下、子宮筋腫や子宮内膜症などで妊娠しにくい体の状態になっていることがあります。一方、男性側でも1人目の時より、精子の状態や精子を作る能力が悪化していることがあります。大切なのは、夫が治療に積極的に参加することです。夫婦で取り組むことで、妻の安心感も増し、治療に前向きになれると思います」(大石医師)