(4)COPDがある糖尿病患者はどう治療すべきか
COPDが厄介なのは、重症化しない限り一般的な胸部X線検査では検出されにくく、呼吸機能検査(スパイロメトリー)でしかわからないケースがあることだ。
2001年発表の大規模疫学研究では、日本人の40歳以上のCOPD有病率は8.6%、約530万人と推定されている。一方で、2017年の厚労省患者調査での患者数は約22万人。つまり、相当数がCOPDと気づいていないか、正しく診断されていない可能性がある。
「問題は、高血糖は酸化ストレスを加速させ、全身性炎症を悪化させ、肺機能を損傷させる悪循環に陥ること。両方の疾患を同時に治療しなければ、症状の悪化や入院の頻度が高まるのです」
ところが一般的な2型糖尿病は肥満タイプが多く運動と食事と薬で血糖コントロールできるが、酸素を得るための安静時エネルギー消費量が大きいCOPDはやせ形が多い。
「そのため食事療法による血糖値抑制も簡単ではありません。運動も息切れの強いCOPDであれば難しい。治療は薬物中心となります」
■早期のインスリン強化療法もひとつの手