(3)障害者雇用の成功モデル…「お客さま扱い」から脱することがカギ
障害者雇用で大手鉄道会社に就職したYさん(男性39歳)は、1人暮らしを始めて2年半、「自分に自信を持って」充実した日々を送っています。
「大学と専門学校を卒業後、転職を10回以上繰り返していましたが、4年前に障害者雇用で初めて就職した会社は時給が低いアルバイトでしか採用されませんでした」
この会社はそれまで障害者雇用の経験がなく、上司も戸惑いを見せていたそうです。
「話しかけると一歩引かれ、まるでお客さま扱いで、自分はのけ者にされたように感じました」(Yさん)
職場にいることが苦痛だったと言います。
「このままではまた逃げだしてしまうと思い、大学時代からお世話になっている医療心理士の小野幸子先生(さち臨床心理研究所長)に相談しました。小野先生のアドバイスは『毎日行くことだけを考えなさい』でした。その言葉通り通い続けると、いつしか会社に行くことが当たり前になってきました。次に、『1ついいことを見つけてやりなさい』と言われました」