(2)障害者の早期離職を防ぐ「医療心理士」の存在
世の中は人手不足で売り手市場と言われますが、障害者が就職先を見つけるのはそう簡単ではありません。
「仕事を探しても、パートや契約社員ばかりで正社員の募集はほとんどありませんでした。私の場合、履歴書を50社以上に送りましたが、全部落ちました」
10年前から障害者雇用を利用しているNさん(女性40歳)はこう話します。精神障害者の正社員の割合は32.7%(令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書)にとどまっており、安定した仕事に就ける人は3分の1以下、このことが定着率や賃金の低さにつながっていると思われます。
また、精神障害者の中には、体調が不安定で職場にいるだけで不安感にかられたり、苦しくなったりして、うまく職場に溶け込めない人もいます。
「不安が強く周囲の視線が気になり、つらくてトイレに逃げ込んで泣いたこともありました。1日4時間の仕事も不安との闘いで、何度も逃げ出そうと思いました」
Nさんは自分の体験をこう話してくれました。精神障害や発達障害は、外から障害が見えづらいため職場の人になかなか分かってもらえないこともあるそうです。