(1)増える障害者雇用の現場には、高い離職率や平均給与などいくつものハードルがある
「障害者を雇ったんですが、すぐに辞められてしまいました。一人は2週間、もう一人は2日でした。これまで障害者雇用の経験がなく慣れていなかったせいかもしれません。担当者を一人つけてサポートしていたのですが……」
首都圏の中小企業の採用担当者がため息交じりにこう話してくれました。
「障害のあるなしにかかわらず、自分の能力や適性に合った仕事ができる社会」を目指して、国は障害者の雇用を積極的に進めてきました。
ところが、平成30年、肝心の公的機関で長年にわたり目標とされていた雇用率を守っていなかったことが発覚し大きな問題になりました。その反省から、近年、障害者雇用推進のための支援策やマニュアル作りなどが行われてきました。
その結果、最近では公的機関だけでなく、一般企業でも障害者雇用が増えています。
昨年12月、厚労省が公表した「障害者雇用状況」(令和6年)によると、民間企業(従業員40人以上)の雇用障害者数は、67万7461.5人で前年より3万5283.5人増え、うち身体障害者は36万8949.0人(対前年比2.4%増)、知的障害者は15万7795.5人(同4.0%増)、精神障害者は15万717.0人(同15.7%増)で、とくに精神障害者の増加が目立ちます。