「クローン技術」は再生医療の明るい未来になりえるのか
まったく同じコピーですから、クローンの臓器は本人のものと同じ“新品”の臓器です。そのため、交換しても拒絶反応は起こりません。病気やケガ、加齢などで臓器の機能が損なわれたら、その都度クローン臓器と入れ替えることで再び機能を取り戻し、生き永らえることができるのです。
しかし、現在の技術では体細胞クローンによるヒトの作製は困難とされているうえ、倫理的にも多くの国で禁止されています。日本では、「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」が定められていて、ヒトのクローンの作製を罰則をもって禁止しています。
自分のクローンは自分と同じ遺伝子を持っている人間ではありますが、自分と同じ人格に育つとは限りません。つまりクローンにも個別の人格があることになります。ですから、臓器を交換するために、自分と同じクローンを作り、ある程度成長させてから臓器を取り出すとなると、クローンの人格権の侵害という倫理的な問題につながる可能性があるのです。
仮に技術が進歩してヒトのクローンを作れるようになったとしても、倫理的に重大な問題がある以上、やはり、iPS細胞をはじめとした再生医療は、臓器のパーツを作り出し、病気や経年劣化により機能しなくなったパーツと入れ替えるという方向で発展していくと思われます。