(58)タイガー魔法瓶が起こしたミキサー革命! “刃を斜めにセット”まで127回も試作を
だって、日本で初めてミキサーが発売された1948(昭和23)年から、ミキサーの基本構造は全く変わってないのですから。映画「ゴジラ-1.0」と同時代です。当時の販売価格は1万5000円。公務員の初任給は最高で約5000円の時代。価値換算すると60万円を超す高級家電でした。駅のジュース売り場ではいまだに麗々しくミキサーを並べているのはこの名残でしょうか。
今まであった基本構造を変更する行為は、難題であり、かなり面倒くさいことです。しかも100%ダメな構造でもなければなおさらです。
この面倒くさい難題に挑戦したのはタイガー魔法瓶です。刃を斜めにセットしたのです。初めて見た時、「この手があったのか!」と頭をハンマーで殴られた感じでした。
最終的な仕様を決めるのに3年7カ月。127回の試作を実施したそうです。これも3Dプリンターが使われる今ならではです。昔ならば考えられません。角度は45度がベストだったというシンプルな解答。シンプルな解答は多くの場合、合理的な解であることが多いものです。