シーシャバーで被害続々…厄介な「一酸化炭素中毒」飲食店・自宅・クルマでの注意点

公開日: 更新日:

EXILE・ATSUSHIは後遺症で1年半

 厄介なCO中毒は、ちょっとしたことで発生する。どんなことに気をつければよいか。富家氏に聞いた。

 人気音楽グループ・EXILEのATSUSHI(44)は、昨年9月27日に自らのSNSに「復活宣言」するまで1年半もの間、CO中毒の後遺症に苦しんでいた。発症したのは2年前の3月。当時の報道によると、スタッフらと食事をしていたレストランには、オイルヒーターが設置され、テーブルにはガスコンロが置かれていた。その食事中にATSUSHIとスタッフ1人が酸欠で体調不良となり、搬送先の病院でCO中毒と診断されたそうだ。

 スタッフは1カ月ほどで回復するも、ATSUSHIは苦しい日々が続いた。SNSによると、めまいや吐き気、頭痛に悩まされたようで、その症状がほぼなくなるまで1年半を費やしている。超VIPだけに、気密性の高い個室での食事が酸欠と不完全燃焼を伴ってCO中毒を招いてしまったのか。

 トップボーカリストと同じような状況のCO中毒は、毎年のように全国各地で起きている。4年前の12月には、鹿児島にある焼き肉店の個室で男女3人がガス式ロースターを囲んで食事を楽しんでいたところ、店のスタッフに全員が倒れているところを発見された。すぐに救急搬送され、CO中毒と診断された。

 ロースター上部には、ダクトがあって、煙などが吸い込まれる仕組みだった。それなのになぜCO中毒になったのか。

 12月で寒かったこともあり、室内の窓は閉め切られていたものの、九州産業保安監督部の調査によると、室内のエアコンは「強」で運転していたそうだ。そのエアコンの風が、ロースターから吹き上げたCOを含む煙を部屋の奥に押し込み、ダクトから排出されず、COなどが室内に充満したとみられる。閉め切られた窓によって、COに汚染された空気の逃げ道がなく、CO濃度が次第に高まったようだ。

 こうしたケースを見ると、CO中毒が日常生活と隣り合わせであることが分かる。東京消防庁が23年までの5年間に住宅やマンションなどで起きたCO中毒を分析したところ、原因は「炭」と「調理器具・設備」を合わせて6割を超えていた。初診時の状態は、「中等症」「重症」「重篤」が過半数を上回る55.6%。多くは、無色・無臭のCOに気づかないまま蔓延し、命を脅かす事態になっているのだ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???