シーシャバーで被害続々…厄介な「一酸化炭素中毒」飲食店・自宅・クルマでの注意点
コンロを覆い尽くす鍋や鉄板で不完全燃焼に
どんなことに注意すればいいのか。鍋や鉄板の大きさが、ポイントになるという。
「鍋や鉄板がガスコンロを覆い尽くすような大きさだと、それだけ酸素がコンロに供給されにくくなり、不完全燃焼のリスクが高くなります。また、ホームパーティーなど室内でのイベント時は、小型のカセットコンロを連結するように設置し、そこに大きな鉄板など置いて調理することもあるかもしれませんが、これも同様に不完全燃焼を起こしやすい。コンロに置く鍋や鉄板は小型がベターです。そうした調理器具の工夫はもちろん、とにかく室内の窓は少し開けて換気を徹底することが欠かせません」
東京で降雪の可能性は少なくなったが、山間部や北国ではまだ雪のシーズンが続く。そんなエリアでは、クルマが要注意だ。
「ひどい雪で立ち往生すると、寒さへの対策からエンジンをかけて暖房をつけた状態で雪をやり過ごそうとするかもしれません。それでマフラーが雪で覆われると、排ガスが逆流して、車内に入り込む。そのまま車内にいると、重篤な一酸化炭素中毒になりかねないのです。降雪時に暖房を使用しながら車内にとどまるときは、必ずマフラー周辺を除雪すること。暖房の使用時は、可能ならマフラーが雪で覆われないところに避難して使用するのが無難です」
JAFは、クルマのボンネットの上まで雪をかぶせた状態で空調を外気導入にしてCO濃度の変化を検証。その結果、CO濃度は16分後に400ppmに上昇。22分後には「3時間で死ぬ濃度」である1000ppmに達した。
一方、ボンネットの上まで雪が積もった状態でもマフラー周辺を除雪したケースでは、車内のCO濃度がほとんど上昇せずに済んだという。さらにマフラー周辺を除雪せずに運転席の窓を5センチほど開けたケースでは、外の風がやむと、「2時間で失神」するレベルに上昇したそうだ。
「雪国の運転では、万が一に備えて、除雪用のスコップや長靴、防寒着、毛布などを用意しておくとよいと思います」
CO中毒は、件数こそ多くはないものの、発生してしまうと、取り返しのつかないことになりかねない。冒頭のシーシャバーのほか、焼き肉店や焼き鳥店、ラーメン店、中華料理店、ファストフードなど飲食店では、業態を問わず起きているから他人事ではない。クルマのケースと合わせて、とにかく用心だ。