株の「売り方」に転じた日銀…市場へのプラスとマイナス
今年に入って一気に上昇した株価。日経平均は連日バブル後の高値を更新し、史上最高値3万8915円も視野に入りはじめているが、この株高で一番ウハウハなのはだれか? そう、日銀である。
2010年から、日銀は事実上の「株式」である上場投資信託(ETF)を買い続け、株価を下支えしてきた。「市場をゆがめている」「官製相場に持続性はない」と批判されもしたが、積もり積もった日銀保有のETFの直近の時価は、現在の株高により、推定67.6兆円(東証の時価総額の7%強!)、含み益は30.4兆円にものぼるのだ。
となると、日銀はこの株高に乗じてこっそり利益確定売りをしているのかと勘ぐりたくなるが、それはない。株価下落を誘発しかねないなどの理由で、これまで日銀は、購入したETFを一度として売却したことがないのだ。
つまり日銀は買い込み、ため込む一方。さすがにそれはイビツで異常なので、日銀は少しずつ修正を行ってきた。黒田総裁時代の2017~20年に、異次元金融緩和策(アベノミクス)として年間4兆~7兆円もETF購入に充てていたが、21年春に政策変更し、「ETF購入は大幅な株安局面に限定」として購入を大幅に縮小。21年は8734億円、22年には6309億円となり、23年には2103億円にとどまった。