日本株4万円到達の「立役者」…米エヌビディアが半導体売上で世界トップになるまで
株価は10年で約216倍に
エヌビディアの時価総額はマイクロソフト、アップルに次ぐ3位だが、株価上昇の勢いはものすごい。23年12月末に495ドル(7万2765円)だったものが、3月8日には一時974ドル(14万3178円)へ急騰。ほんの2月あまりでほぼ倍になっている。10年前は4.5ドル程度。そこからだと約216倍だ。
いまでこそAI用半導体のシェア8割を誇る最先端企業としてもてはやされるが、株価を見る限り10年前はそうでもなかったということ。
創業は1993年。最高経営責任者(CEO)のジェンスン・フアン氏ら3人が立ち上げた。同氏は63年2月に台湾で生まれ、9歳のときに親類を頼って渡米。後に両親も米国に移住している、台湾系米国人だ。
オレゴン州立大学やスタンフォード大学で学び、IT系企業のLSIロジック、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などで働き、30歳のときに起業。カリフォルニア州サンノゼにあるデニーズで、仲間らと、どんな会社にするかを話し合ったというエピソードが知られている。
社名の「NVIDIA」はラテン語の「INVIDIA」(未来を見る、無限を見る)に由来する。
得意分野は画像処理半導体のグラフィックス・プロセッサ・ユニット(GPU)だ。創業のころはゲーム業界向けだったが、エヌビディアが開発したGPUは画像処理だけでなく、もっと幅広く利用できた。
なかでもAI関連に強みを発揮する。エヌビディアが開発した「CUDA」というGPU向けのプラットフォームの評判が絶大。対話型AIの米オープンAI「チャットGPT」にもCUDAは利用されているという。
また、自ら工場を持たないファブレス企業としても有名だ。生産を委託しているのは台湾のTSMC。熊本県に大規模な工場を建設している日本でも注目の会社だ。
エヌビディアの24年1月期の売上高は前期比で約2.3倍の609億2200万ドル(約9兆円)となり、インテルや韓国サムスン(半導体部門)を上回り世界トップになった。
AI業界から引っ張りだこだけに、業績のさらなる拡大は間違いない。フアン氏は昨年12月に岸田首相と面談し、日本が必要とする半導体をできるだけ提供したいと語っている。
日本の株式市場や経済の浮沈をエヌビディアが握っているとすら言えそうだ。