腹立たしい そして、虚しい
同じ状況で低めの変化球を打って内野ゴロだった時、三塁走者のギャンブルスタートの練習にもかなりの時間を割いている。これも実戦で生きない。私が設定している「50試合」の“研修”の意味は、各自が状況判断し、実戦で生かせるようになる期間。全部を監督のサイン任せにしていては進歩はない。かつて強い頃は選手同士で状況判断し、ある程度自由にやっていた時代もあった。
■関東大会の敗因
現チームは夏の甲子園に出場したメンバーのほとんどが残っている。秋の神奈川大会は何とか制したものの、関東大会で佐野日大に3―5。経験を生かせず、8強止まりでセンバツは苦しい状況となった。
私が毎試合作成している「小倉メモ」のデータを生かせなくなっているのが悲しい。佐野日大戦で初回に7番打者に3ランを被弾。これでほぼ試合が決してしまった。チャート表にはポイントを黒く塗りつぶし、「ここが強いから間違っても投げるな」と試合前にバッテリーと確認した。それが、まさにそこへストライクを取りにいった。コントロールミスではない。私が渡したチャート表を2人とも頭に入れず、何も考えずにそこへ投げてしまったと言う。こんなに腹立たしいことはない。頭に入れないなら、何試合も偵察し、相手打者の得意、不得意なコース、球種を分析して配る意味がない。データが提供されるのが当たり前だと思っている選手に「必要ないならもう作らねえぞ」と怒鳴ってみても、いつものように反応は薄かった。