1億円の“ニンジン”も効果なく 女子マラソン暗黒時代の予兆
何度同じ話を聞いたことか。
来年のリオ五輪女子マラソン国内選考会レースのさいたま国際マラソンが15日に行われ、エチオピアのアツェデ・バイサ(28)が2時間25分44秒で優勝。日本人では地元埼玉県出身の吉田香織(34=写真)が2時間28分43秒で2位に入った。終盤は独走で勝ったバイサは「アップダウンがあると聞いていたが、予想したほどではなかった。非常に簡単で楽しみながら走ることができた。こんなに簡単に走れたマラソンはこれまでなかった」と、楽なレースに拍子抜けといった様子だった。
一方の日本選手は、国内で最初の五輪選考レースというのにトップの吉田が1位から3分遅れの28分台では話にならない。日本陸連の酒井勝充強化副委員長は、「(日本選手は)力が足りなかった。女子の(五輪選考)レースはこれから2試合続くので、30キロ以降をどう走るかという課題を頭に入れて練習に取り組んでほしい」と語った。そんなことは選手も指導者も百も承知しているはずだ。
女子マラソンの代表枠は最大3。すでに8月の世界陸上で7位入賞(2時間29分48秒)の伊藤舞(31)が内定している。残り2枠を今回のさいたま国際、来年1月の大阪国際、3月の名古屋ウィメンズで争う。この中で、陸連設定記録の2時間22分30秒以内の選手は1人選ばれることになっているが、野口みずきが05年のベルリンで2時間19分12秒をマークして以来、10年間も23分の壁を破った日本選手はいないのだ。