プロも高校も…捕手難の深刻
2015年もあとわずか。今年、気になったことがある。
球界全体が捕手の人材難に陥っているのだ。プロを見渡しても、規定打席に届いた選手はヤクルトの中村と西武の炭谷の2人。他に正捕手と呼べるのは楽天の嶋とロッテの田村くらいで、巨人、阪神など多くの球団が捕手を固定できなかった。
これは高校野球も同様。ドラフト指名された捕手は豊橋中央の谷川原(ソフトバンク3位)と静岡の堀内(楽天4位)の2人と少ない。全体的にレベルが低下しているのである。
今年8月、朝日新聞の「高校野球100年」の企画のため、甲子園で3日間ほど試合を観戦した。バックネット裏の高い位置にある記者席から初めて見たが、古い歴史があるのに他のどの球場よりグラウンドが見やすくつくられていることに驚いた。
見やすいだけに捕手のちょっとした動きも目についた。球種が丸分かりの捕手が実に多かったのだ。
注意するのはサインを出した後。直球を要求した時は左右のコースに大きく移動するのに、変化球の時は真ん中のまま動かない。最近はフォークなどの縦の変化球の割合が多い。落ちる球はホームベースから外れると振ってくれないから、捕手は真ん中に構えて止めようとする。そう教える指導者が増えているのも一因だ。