スライド先発のヤンキース田中 「開幕投手」発表ズレた裏
■状態によって変わる力加減
開幕投手の最終候補は田中、昨年14勝3敗のイオバルディ(26)、5勝3敗のセベリーノ(22)の3人。防御率4.20のイオバルディがチームの勝ち頭だったのは打線の援護に恵まれたから。セベリーノは昨年がメジャー1年目で荷が重い。田中が2年連続で開幕投手に選ばれたのはどうやら消去法らしい。
「田中は右肘が不安でも、それなりにゲームをつくれる。首脳陣はそう判断したのです」と前出の記者がこう続ける。
「田中は常に全力投球をしているわけではありません。体の感覚が優れているのか、その日の肘の状態によって力の入れ加減を変えていると聞きました。例えば調子が良ければ力で押す投球をしても、そうでない場合は7割程度の力加減で変化球を多用、かわす投球を心掛けているのでしょう。これ以上、力を入れると肘が危ないという感覚を、自分で察知できるという話もあるくらい。球種が豊富でコントロールがよいだけに、7割程度の力でもそれなりに投げることができるのです」
田中がオープン戦最後の2試合で結果を出せなかったのは、肘の状態が芳しくなく「7割程度の力加減」だったからではないか。それでもまったく投げられないわけではないし、7安打されても1失点で食い止めることができる。だからこそ首脳陣は田中に開幕を託したようだが、不安が解消されるわけではない。