著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

大迫マラソン日本新記録の裏で露呈 陸連“海外進出”の波紋

公開日: 更新日:

 テニス大坂なおみの場合もそうだが、大迫の場合も、“積極的多国籍主義”が得たものを、日本記録という狭い枠で捉え1億円の報奨金で包み込むのは無理がある。そこで気になるのが日本陸連の動きだ。

 日本陸連強化委員会の麻場一徳委員長は、ベルリンマラソンが行われた9月16日、担当記者を集めて新プロジェクト「キメラ」を発表した。競技現場にメディアを巻き込んだ包括的なマラソン強化案だ。東京オリンピックの代表選考レース「MGC」の仕掛けもその一環だが、それをさらに進め、シカゴなど海外マラソンへの記者派遣支援、“あご足つき取材”を提案している。

 競技団体持ちの出張取材は画期的というか、気持ちが悪い。応募した情けない新聞社があるか知らないが、ここでの問題はそこではない。

 陸連はこれまで、国内マラソンの保護と称し、日本選手の海外マラソン出場を抑制、妨害した。東京国際女子マラソン、福岡国際マラソンに出場させるため、同時期のニューヨークシティーマラソンへの出場に圧力をかけ続けてきた。いまになっての方針変更は、独り勝ちの東京マラソン財団の後ろ盾を得た、2020年東京オリンピック対策だろう。何もしないよりいいとはいえ、隠された問題は大きい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  3. 3

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  4. 4

    吉村知事の肝いり「空飛ぶクルマ」商用運航“完全消滅”…大阪万博いよいよ見どころなし

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  2. 7

    大谷ファンの審判は数多い あいさつ欠かさず、塁上での談笑や握手で懐柔されている

  3. 8

    小泉進次郎の“麻生詣で”にSNSでは落胆の声が急拡散…「古い自民党と決別する」はどうなった?

  4. 9

    ドジャース地区連覇なら大谷は「強制休養」の可能性…個人記録より“チーム世界一”が最優先

  5. 10

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ