優勝候補ウェールズ 木彫りの「ラブスプーン」の霊力とは
優勝候補のウェールズ代表。来日時に選手が携えていた美しい木彫りのオブジェが話題になった。「ラブスプーン」と呼ばれ、ウェールズに読み書きの文化がなかった400年以上も昔から存在する。言葉の代わりに思いを伝えるツールと言ったらいいだろうか。
ラブレター、プロポーズ、妻への感謝など、モチーフごとに意味を持たせ、本来は自力でプラタナスの木を彫る。今はプロが彫ってくれる。ウェールズ代表のラブスプーンには、上から「3枚のダチョウの羽根」。17世紀初頭からプリンス・オブ・ウェールズの紋章として使用され、国への誇りと忠誠を表す。その下の「ウェリッシュ・ハープ」は調和の意味。「ドラゴン」はウェールズ旗の赤い竜。強さと勇敢さを表す。飾り帯の下には国花「ラッパ水仙」。成長と開花を願うモチーフである。そして、ハート形のスプーンは「愛」だ。
ラブスプーンは最年少選手が持ち歩くという伝統がある。W杯では21歳のカレ選手が肩からかけて移動している。誇らしくも重要な役目らしい。
モチーフにもあるドラゴン伝説について――。