川井梨紗子「強気メンタル」で先手必勝貫けば金メダル確実
レスリング女子57キロ級・川井梨紗子(25)
吉田沙保里、伊調馨の後継者だ。19年9月の世界選手権(カザフスタン)で優勝し、女子57キロ級の代表を勝ち取った。初めて出場した16年リオ五輪では63キロ級で金メダルを獲得。東京では、吉田、伊調に次ぐ連覇を目指す。
ここ数年は、マット外での騒動に巻き込まれた。自身の恩師でもある至学館大学の栄和人監督によるパワハラを告発した伊調に全日本選手権で敗退。リオ以降、競技を離れていた伊調にマットに沈められ、東京五輪どころか引退も頭をよぎった。周囲のサポート、励ましもあって再び、マットに戻ると、19年6月の全日本選抜選手権では一矢報い、伊調とのプレーオフも制して東京につなげた。
笹山秀雄女子強化委員長は「伊調選手と死闘を繰り広げたことで、さらに成長しました」と、こう続ける。
「負ければ後がない状況で五輪4連覇中の強敵を破ったことで壁を乗り越えられたのでしょう。伊調選手の復帰戦で負けた時は、今までにないほど落ち込んでいましたが、“全てが終わったわけではない”と、切り替えも早かった。もともと練習熱心でしたが、伊調選手を倒して(19年9月の)世界選手権代表権を勝ち取ってからは、これまで以上に積極的に取り組むようになりました。吉田や伊調に代わって代表チームを盛り上げようと声を出すなど、エースとしての自覚も出てきました」