バルセロナ五輪は銅…報告会の挨拶で思わず発言したこと
「参った」と言える後輩が何人出てくるか
それから28年、バルセロナメンバーの集まりは、「バルセロナ会」として今も続いている。メンバーが社会人チームの監督に就任した際に激励会を開き、私が2016年に野球殿堂入りをした時にはお祝いをしてくれた。
バルセロナメンバー20人のうち、8人がプロ入りし、9人が社会人で指導者となり、3人が社業に専念している。みなそれぞれ、立派な活躍をしている。五輪には出場できなかったけれども、国際大会を一緒に戦った選手たちを含め、彼らとのつながりは私の人生における最も大きな財産になっている。
私は監督当時、ベテランも若手も分け隔てなく、技術や知識、野球観、人生観に至るまで、私が持っているもの全てを伝えたいと思って接してきた。ただ五輪だけを見据えるのではなく、野球であれ仕事であれ、年齢を重ねていずれ指導的立場になったときに、何かしらの糧にしてもらえたらという気持ちがあった。
当時は選手として能力を高める立場だった彼らは、指導者となり、また野球を離れた仕事の中でリーダー的立場になっている。私は今、自分を超える指導者を何人残せるか、ということに喜びを感じている。私と同じくアマ野球界に関わるメンバーたちに対しては、なおさらだ。
その一方で、私自身は彼らにそう簡単に超えられてなるものか、という思いもある。お互いが高め合いながら、最後の最後に「参った」と言える後輩が何人出てくるか、楽しみでならない。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。=おわり