田中将は「2戦目先発」に 開幕投手を避けた楽天の深謀遠慮
現場とフロントでさまざまな思惑があるようだ。
楽天の田中将大(32)のシーズン日本復帰登板が開幕2戦目(3月27日土曜の日本ハム戦=楽天生命パーク)に決定した。石井GM兼監督は開幕投手に昨季11勝を挙げ、最多勝を獲得した涌井(34)を指名した上で、「土曜はナイター明けのデーゲームなど、変化がある曜日ですが、そこでしっかり勝ってほしい。涌井で勝って、田中で勝って3連戦を勝ち越すのが理想」と、その意図を明かした。
田中はメジャーで6年連続2ケタ勝利。あのヤンキースで4度、開幕投手を務めた。普通に考えれば開幕投手だが、開幕2戦目の起用は日本球界に復帰して間もない田中に、より確実に白星をつける狙いもあるようだ。
今季2度目の実戦登板となった先月27日のヤクルト戦(浦添)は3回42球を投げて1失点。最速は149キロをマークした。田中本人が課題に挙げていた速球とスプリットの制球を重視した登板だったが、地方球場の軟らかいマウンドのせいもあり、フォームのバランスが安定せず、ボールを引っかけた逆球も多かった。調整段階とはいえ、制球に苦しんでいることは確かだ。
田中は試合後、「7年間、向こうで積み重ねてきて、染みついているものがある。こっちで生きるかといえば、邪魔になるものもある。そこは削ぎ落として新たに思い出してやらないといけない。その作業はまだまだ必要」と言っていた。次回は今週末の中日戦(6、7日=バンテリンドーム)が有力視されている。バンテリンドームのマウンドは赤土で他球場よりも比較的、硬いといわれる。投球環境が整った中でどれくらいの投球ができるかどうかだが、楽天OBはこう指摘する。
「開幕後もしばらくは、日米の登板間隔の違いや、各球場のマウンドの差異に慣れる時間が必要。開幕投手として各球団のエースと対戦するよりも、相手の先発投手のランクが落ちる2戦目の方が負担は小さく、勝つ確率も上がる。田中は優勝請負人としての期待が大きい上に、オフのメジャー再挑戦も視野に入れている。今季は是が非でも結果が欲しい。開幕2戦目の先発は田中にとっても願ったりかなったりではないか」