大谷二刀流に限界カウントダウン…打者専念でHR40本の予感
エンゼルス・大谷翔平(26)による二刀流は本当にうまくいくのかどうか。
日本時間31日のドジャースとのオープン戦最終試合は「2番・DH」で出場。初めて登板翌日に打者として出場した試合で、160キロ右腕メイの159キロの高速シンカーを右前にはじき返し2打数1安打だった。これでオープン戦は13試合に出場し、31打数17安打の打率・548、5本塁打、8打点。打者として抜群の結果を残した一方、投手としては4試合計10回3分の1を投げ、0勝3敗、防御率12・19だった。
新人王に選ばれた渡米1年目の2018年以来3年ぶりに投打の二刀流復活を目指しているが、しかし、投げる方が余りに心もとないのだ。
18年オフにメスを入れた右肘の状態は完全に回復した。直球の最速は164キロを計測。球威こそ取り戻したものの、課題だった制球力の向上には至らなかった。オープン戦最終登板となった30日のドジャース戦では3本塁打を含む4安打7失点、5与四球の大乱調。中指にマメができてわずか2回3分の1でKОされ、今季初登板の同5日のホワイトソックス戦に向けて不安を残した。
「映像で見る限り、オープン戦の投球はメジャー移籍後では最高の部類に入ると思う。腕の振りにしても、ここまで良かったのは見たことがありません。極端な言い方をすれば、『打てるもんなら打ってみろ』と言わんばかりのケンカ投法になっていた。球威だけ見れば復調したと言ってもいいでしょう。球に指がかかるようになれば、制球も今よりは安定してくると思う。現状のコンディションから判断する限り、二刀流復活の条件は整ったと見ています」(評論家・斉藤明雄氏)
投手としての不安はマメだけではない
投げては160キロ超の剛速球、打っては特大の一発を期待できるというのだが、大谷は投打の調整を強いられるだけに、フィジカルへの負担はただでさえ大きい。まして今季は、マドン監督の方針から登板日や登板翌日も打席に立つなど、打者としての負担が確実に増す。これまで以上にタフなシーズンになるのは想像に難くない。
「春先のコンディションの良さがかえって不安です。メジャー移籍後は筋トレに励んで鍛えていますが、今は肩が抜けんばかりに腕を振り抜いている。これまでのように球威に頼った投球スタイルを続ければ、肩や肘が悲鳴を上げてもおかしくはありません」(前出の斉藤氏)
米メディアは大谷の復調を好意的に捉える一方で、「また、肘を痛めるようなら、打者に専念することになるだろう」と、二刀流への挑戦は今季がラストチャンスになるとの報道が目立つ。再び、肘にメスを入れることになれば、いよいよ投手としての限界を迎えるということだ。
CS放送などのメジャーリーグ中継で解説を務める評論家の堀井恒雄氏がこういう。
「常に故障のリスクがつきまとう二刀流を継続するよりも、一日でも早く打者に専念すべきです。もちろん、大谷は投打とも一流レベルではありますが、チームへの貢献度を考慮すれば、打者一本で勝負した方がいい。今年のオープン戦での調子から判断すると、打者としてほぼフル出場すれば、打率3割、本塁打30~40本は簡単にクリアするはずです。メジャーには160キロを投げる投手は珍しくありませんが、大谷のようにスイングスピードが速い打者は多くありません。投手からすればあのスイングは脅威でしかない」
前出の斉藤氏も「チームの勝利、個人の結果を優先するなら打者に専念した方が得策。これまでは中堅から左翼を意識したスイングでしたが、引っ張りにかかれば、右方向への長打も増えて本塁打を量産できるのではないか」と見る。
エンゼルスは地区優勝した14年を最後に6年連続でポストシーズン進出を逃している。今季が3年契約2年目のマドン監督は、ボチボチ結果が求められる。大谷の起用に関して「あくまで投手優先」と話しながら、実際には打者としての負担を増やしている。それが勝利への近道と判断しているからだし、大谷が故障する以前に打者に専念させるに違いない。