五輪開催 錦織と大坂のテニス選手ゆえ実感こもる重い発言
陸上競技のオリンピックテスト大会が行われるなど、緊急事態宣言と迫りくる五輪開催準備の二律背反が複雑な影を投げている。そんな中、ローマ・マスターズに出場している錦織圭が切り込んだ発言をした。
「死人が出てまでも行われることではない」
これより前に、大坂なおみもこう話していた。
「(ホスト国の)人々を危険な目に遭わせ、不都合を招く可能性があるのなら、いまこそ議論をすべき時だと思う」
ごくまっとうな話だが、テニス選手だからこそ重みのある発言と言える。
2人が滞在しているイタリアはパンデミックの再来で1日に200人近い死者が出ている。その中で大会を開催しているのは、ツアーが4年に1度の“祭典”とは異なる生活そのものだからで、テニス界はその基盤維持のために大変な努力、試行錯誤をやってきた。
世界的ロックダウンにあった昨夏、全米オープンは無観客と完全バブル構築でどうにか開催にこぎつけた。スポーツの第一歩だった。1カ月後、今度はパリで全仏が一部観客を入れ、今年の全豪では全選手が2週間の隔離待機――これらの“実験”をテスト大会も参考にしている。