イベント開催規制緩和に透ける東京五輪「有観客」への思惑

公開日: 更新日:

「プロスポーツだって一定の観客を受け入れているのだから、東京五輪も同様にすべきだ」

 23日のスポーツ報知によると、政府や組織委員会などはこんな理由で東京五輪の有観客開催を推し進めているそうだ。

 3度目の緊急事態宣言が発令されている24日現在、計10都道府県が対象下にあるが、それでもプロ野球をはじめとしたさまざまなイベントは一部地域を除いて有観客で開催されている。緊急事態宣言下の“ルール”が変わっているからだ。

 今回の緊急事態宣言は当初、東京都、大阪府、京都府、兵庫県を対象として4月25日から5月11日までを予定していた。しかし、ますます猛威を振るう新型コロナウイルスを前に、政府は緊急事態宣言の延長を決定。去る5月7日に国内感染者数が右肩上がりだったにもかかわらず、イベント開催制限を緩和、最大5000人までという有観客での開催を認めたのだ。

体裁のために観客は必須

「結局、これは観客を受け入れて東京五輪を開催するための布石だったのです」と、スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう続ける。

「人命を守るための緊急事態宣言なのに、イベント規制を緩めて有観客を認めるなんて矛盾していますよ。その上、自分たちがルールを変えておいて、『プロスポーツが有観客だから五輪も』というのはまったく姑息でおかしな話です。ここまでするのは、IOCや組織委は体裁のために何としてでも観客を入れたいと考えているから。無観客だとテレビ映えしないし、そこまでしないと開催できないのかとも思われてしまう。政府だって、観客の賑わいを演出することで五輪を盛り上げ、自分たちの政治活動に利用したいのです」

 谷口氏は、IOCのコーツ調整委員長が21日に言い放った「緊急事態宣言下であっても五輪を開催する」という発言は、日本側にも原因があるとみている。

「コーツ氏の人格や資質を疑うのはもちろんですが、そもそも政府や組織委などは、イベントの規制緩和というインチキによって『緊急事態宣言下でも五輪ができる』と思わせてしまうような状況をつくってしまった。日本の『何が何でも開催するんだ』という姿勢が、IOCの横暴を助長しているのです」

 まったくだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • その他のアクセスランキング

  1. 1

    伊藤美誠がパリ五輪シングルス代表絶望で号泣…中国も恐れた「大魔王」はなぜ転落したのか

  2. 2

    レスリング須崎優衣は“自爆”の初戦敗退で大号泣…終了間際に逆転許した「悪い癖」とは

  3. 3

    ブレイキンの意外な金銭事情…トップはどれだけ稼ぐ? 国際大会V賞金、スポンサー料、指導料は?

  4. 4

    賛否の大号泣・阿部詩を支える「今カレ」と「全てを知り尽くす元カレ」…ともに一二三とは“深い仲”

  5. 5

    五輪選考めぐり石川佳純も「NO!」卓球協会は現役メダリストの反論をいつまでスルーするつもりか

  1. 6

    川合俊一らと男子バレー“御三家”だった井上謙さんは「発達障害の息子のおかげで学んだ」

  2. 7

    なぜ阿部詩は号泣し、須崎優衣は嗚咽したのか…溢れ出る悲壮感はメダル連発スケボー選手と天地の差

  3. 8

    スポーツを歪める阿部詩の大号泣とメディアのお涙頂戴報道…「非常に残念な振る舞い」と識者バッサリ

  4. 9

    レスリング藤波朱理の無敗記録を止めるのは…まさかの五輪4連覇・伊調馨?試合前の「不穏な」やりとり

  5. 10

    卓球女子シングルス早田ひなの自滅に見えた孫穎莎のバケモノぶり【卓球コラムニスト・伊藤条太 観戦記】

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フワちゃんは活動休止、男性の体臭批判の女子アナは契約解除…失言続きの和田アキ子はいつまで許される?

  2. 2

    「アッコにおまかせ!」存続危機 都知事選ミスリードで大炎上…和田アキ子には“75歳の壁”が

  3. 3

    中丸雄一「まじっすか不倫」で謹慎!なぜ芸能人は“アパホテル”が好きなのか…密会で利用する4つの理由

  4. 4

    中丸雄一に"共演者キラー"の横顔も…「シューイチ」で妻の笹崎里菜アナも有名女優もゲット

  5. 5

    やす子「暴言トラブル」火消しで“救いの手”も…フワちゃんの言い訳がましい謝罪が“火に油”

  1. 6

    選手村は乱交の温床、衝撃の体験談…今大会コンドーム配布予定数は男性用20万個、女性用2万個!

  2. 7

    中丸雄一「よにのちゃんねる脱退」を求めるファンの声…名物・菊池風磨の“中丸いじり”はもう笑えない

  3. 8

    川合俊一らと男子バレー“御三家”だった井上謙さんは「発達障害の息子のおかげで学んだ」

  4. 9

    自民重鎮の元秘書が「JK性加害」の衝撃!衆院青森3区から出馬表明も、酒乱トラブル続出の過去

  5. 10

    中日・根尾昂は責められない。定石を度外視、一貫性も覚悟もない指揮官の大問題会員限定記事