立川談四楼氏「問題山積の五輪をどんな気持ちで迎えれば」
それらを抱えたままコロナ禍に突入して、いよいよ不信感が増すことになった。
いま、多くの落語家は苦境に立っています。私の場合、以前は月10回ほどあった地方営業は、ほとんどなくなった。結婚式の司会などの副業も飛びました。落語家は個人事業主だから正直、苦しい。十分な補償もなく、これじゃ食えないからってアルバイトを始めた若い落語家が、そのまま業界を離れてしまった例も聞きました。
それでも政府を信じて、ひたすらに我慢してきた。でも、国の政策を見たら、やっていることがめちゃくちゃです。舞台観賞はよくて映画はダメとか、その根拠も示さないまま「我慢しろ」としか言わない。要請に従って寄席を閉じても、協力金は1日たったの2万円ぽっきり。いたぶるのもいいところです。
だから落語界は今年の4月、緊急事態宣言が発出される直前に、「寄席は社会生活に必要なものだから、やる」って意地を見せた。でも、すぐに都や国からプレッシャーがかかって……。
そんな折に、落語ファンを自称する加藤勝信官房長官が「寄席」を「よせき」なんて読み上げやがった。