JOC山下会長は「金メダル30個」目標撤回も…五輪代表を悩ます2つの“無言の圧力”
そうはいっても、だ。27日の朝日新聞の世論調査では60%が開催に反対し、ワクチンの優先接種をめぐっては選手に批判が集中。
「五輪アスリートのせいで医療が崩壊して国民が犠牲になる」と、ネット上で攻撃される事態になっている。
そんな異常な空気の中で強行開催される東京五輪だ。「選手の心理状態は、これまでの五輪とはまるで違ったものになるでしょう」と話すのは、スポーツファンの吉川潮氏(作家)だ。
「コロナ禍でなければ、すべての国民が応援団になる。今回も五輪開催派は選手にメダルを取ってほしいと願う一方で、反対派は素直に応援できない。選手はその双方の無言の圧力を感じることになるでしょう。『五輪をやることで努力してきた選手が報われる』なんて声もあるが、アスリートの心理を考えるとなんて残酷なことを言うのかと思います。メダルを取ったら『五輪がどれだけのものを犠牲にしたのか』と言われるかもしれないし、惨敗すれば『コロナで苦しんでいる人がいるのに高い税金使って何やってんだ』と非難されることも考えられる。SNS上で罪のない選手を直接攻撃するやからも出てくるかもしれません。まともな神経で大会に臨めるはずがありません」
山下会長は、一部国民の攻撃から選手を守れていない現実について「会長としての役割を果たせなかった。叩くならJOC会長の私を、あるいは組織委員会を叩いてほしい」と語ったが、表舞台に立つのは選手自身。多くの国民が望まない祭りの後、山下会長はどれだけ選手をフォローできるのだろうか。