元木大介コーチにサインをせがむと「虎っていう漢字、どう書くんでしたっけ?」
そして、その視線の先を追っていくと、そこは記者席であり、そこには当時野球評論家とおバカタレントの二刀流の元木大介がいたわけでした……。「パ、パパ、元木がいるよ!」と興奮で声をひっくり返す虎太郎、「うん、元木だね、でも彼は阪神の敵、巨人OBだから見る必要ないから(笑い)」と返答する父……。
しかし息子は笑いを返すどころか真剣そのものの目で、阪神の選手にチャンスがあったらサインを書いてもらおうと持ってきた色紙を俺の前に差し出し言ったのだった。
「パパ、元木さん知り合いだよね?」
「ああ、選手の頃からよく知ってるけど」
「サインもらってくれない!?」
「えーっ!! 阪神ファンが、元巨人の元木にサインを頼むの~!! しかも、あのテキトーでだらしなくて、いい加減なくせに阪神戦でよく打った憎っくきモトキに~!!」
確かに俺から見た元木はそーだったのだけど、小学生の息子にしてみればテレビの中で当時大人気タレントであった元木はキラキラと輝いて映ったのでしょう……仕方なく記者席へ色紙を持ち入っていった俺(俺はNPBのプレスを持っています)「元木くん、悪いんだけどうちの息子にサインしてくんない!!」「いいですよ! あ、名前入れますね、なんて言うんですか」「虎太郎って言うんだ」「アハハ……虎太郎ですか! 阪神ファンのダンカンさんらしいですねェ」とあっさり引き受けてくれたのはいいが、背後で待ってても一向にペンが進まない??? 「そーか、俺の息子だから特別に虎のイラストでも入れようと図案を試行錯誤したりしてるのかなあ……」と思っていたら、突然振り向いた元木が言ったのだった。
「スミマセン、ダンカンさん、虎っていう漢字どー書くんでしたっけ?」だってさ……。そんな元木がヘッドコーチの巨人ってなんかスゴーい!!(笑い) (つづく)