中村俊輔、本田圭佑、遠藤保仁…日本代表「FKの名手」の系譜は途絶えてしまうのか(下)
中田英寿の練習からは〈探究心〉を感じた
彼らの系譜を継ぐのが本田圭佑であり、遠藤保仁となる。
2010年南アW杯の第3戦・デンマーク戦。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる試合の前半17分、本田が得意のブレ球FKをゴール左スミに叩き込んだ。
さらに前半30分には正面25メートルの位置から遠藤が壁の右側を巻いたシュートで追加点を決める。試合は岡崎慎司の3点目もあり、日本は3-1の勝利を収めて2002年以来となる決勝トーナメント進出を果たした。
ここまで紹介した選手に共通しているのは、全体練習の終了後も自主トレでシュート練習に精を出していたことを指摘できる。
木村の時代には、壁代わりのダミーなどなかったが、チームメイトのGK松永成立(現横浜F・マリノスGKコーチ)を相手にシュート練習を繰り返していた。
変わったところでは、中田英のシュート練習だ。「シュートを決める」ということよりも、どういう蹴り方をしたらどのコースに飛ぶのか、1本づつ確かめながら蹴っているようだった。
最初は大きく枠を外れていたシュートが、本数を重ねるごとにゴール枠に近づいていく。そんな彼のシュート練習からは、並々ならぬ〈探究心〉を感じたものだ。
オシム時代の2007年にベトナムなど東南アジア4カ国で開催されたアジアカップでのこと。全体練習が終わるとオシム監督はPK練習を全員に課した。
失敗したらグラウンド1週という罰走が課せられていたが、1本もPKを失敗しなかったのが中村であり、遠藤であり、意外にもDFの駒野友一だった。