全米女子アマV馬場咲希「驚異の心技体」 中1から指導した坂詰和久コーチが明かす
ドライバー飛距離に伸びしろ
──6月に出場した「全米女子オープン」で予選を通過し49位になったことで急成長した感じです。何かきっかけがありましたか。
「それまでの咲希は弾道が高いことがコンプレックスでした。私は『米ツアーの選手は見ていて首が痛くなるぐらい高い球を打つよ』とずっと話していたのです。それが全米女子オープンに出たら、周りの選手が自分より高い球を打っているのを見て、コンプレックスがなくなりました。高弾道は硬くて速いグリーンでもボールを止められる武器になると思えるようになったのが大きいですね」
──それから練習も変わった?
「猛練習というのはありません。どの大会に勝ちたい、とか切羽詰まった気持ちにさせて追い詰めると壊れてしまいます。今はまだ焦る必要はないですから、これまで積み上げてきたものを壊すぐらいなら試合に出なくていいし、練習もしなくていい。今は発展途上です。出た大会で上位の成績を残して、勝つチャンスがあれば狙えばいい、というスタンスです」
──今回の勝利で来年は「全米女子プロ」を除く海外メジャー4大会の出場資格を得ました。目標設定も変わりますか。
「はい。まずは海外メジャーでどう戦うか、が目標です。さらに受験予定の日本のプロテスト合格に向けて何をすべきか。国内ツアーに出場できる機会もこれから増えると思うので、そこでどう勝つか、がテーマになります。トーナメントで優勝すればプロテストが免除になりますからね」
──これからの取り組みはどうなりますか。
「咲希はウエッジのバウンス(ソール後方の出っ張り)を使ってフワリとボールを上げるアプローチがうまいので、それに磨きをかける。あとはヘッドスピードが47~48メートルも出ている割に飛距離が出ていないので、キャリー250ヤード、ランも含めたトータルで270~280ヤード出せるようになることです。スケールの違うゴルフができるようになってほしいです」
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服部道子以来37年ぶりの偉業を達成した馬場が、さらにスケールアップしたら今後の活躍も楽しみだ。
(聞き手=森伊知郎/スポーツライター)