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大豊昌央元大相撲力士

本名は鈴木栄二。1955年3月29日、新潟県北魚沼郡堀之内町(現魚沼市)出身。73年に時津風部屋に入門し、同年11月場所で初土俵。81年1月場所に新十両に昇進し、82年5月場所で新入幕。83年1月場所は新三役として小結を務める。87年1月場所後に引退し、時津風部屋の部屋付き親方となり、2002年に独立。20年に蒼国来に部屋を継承させ、相撲協会を退職。主な弟子は蒼国来、若隆景、若元春ら。最高位は小結。

東日本大震災の余震が続く中「我が子を守る」と決めた日

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「師範代」の木札

 涙を流す蒼国来に、私も「なんでこの子は遠い異国の地でつらい目に……」と思い、「こんなことになるなら、おまえを日本に連れてこなければよかったかもしれないなあ……」と、弱音を吐いてしまったこともあります。弁護士の先生方にも、「仮に裁判で解雇無効を勝ち取れても、土俵に戻れるかどうかは……」と言われるように先が見えなかったのも確かです。

 ただ、それでも蒼国来の意志は固かった。彼の胸にあったのは、「再び土俵に戻りたい」というただ一心。

 相撲部屋には番付と力士の名前を書いた木札が壁に掛かっています。私はそれまで蒼国来の横にあった「幕内」の札を外し、代わりに新たに作った「師範代」の木札を掛けました。裁判を経て、必ず戻ってくる、戻ってきてほしい。私もその一心でした。(つづく)

【連載】先代荒汐親方「地道、花道、電車道」

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