中国のサッカーバブルは完全崩壊 “金満国家”サウジ主導の選手爆買いには太刀打ちできず
たった数年で立場が激変
代わって西アジアの金満国家が台頭してきました。サウジアラビアです。
クリスティアーノ・ロナウドとベンゼマの年俸は約320億円! ネイマールは約250億円! カンテは約110億円! と言われています。
12年当時はアネルカが約11億円、ドログバが約12億円でした。中国のサッカーバブルが始まった頃と比べても桁違いの金額です。
果たして中国は、サウジアラビアを抜いて再び世界のサッカーバブルを牽引することができるか。どう考えても無理だと思われます。
中国のサッカーバブルを支えた資金は、主に不動産関係の好況をベースにしたものでした。
ここから再び不動産景気がやってくるかというと……難しいと思います。
サウジアラビアの場合は、潤沢なオイルマネーをバックにした政府が100パーセント出資している「パブリック・インベストメン・ファンド」が各クラブを支えており、事実上の国家政策によるサッカー選手の爆買いが行われているのです。
これでは他国のクラブは太刀打ちできません。
中国でもサウジアラビアの影響は出ています。 身近なところで言えば武漢三鎮も、ルーマニア代表のスタンチュが9月にサウジアラビアへと移籍しました。
昔は中国が各国代表級選手を高年俸で引き抜いていたのに今は引き抜かれる立場なのです。
たった数年で立場が激変してしまう――。
世界のサッカーマーケットの恐ろしさを実感しています。(つづく)
(取材・構成=森雅史/サッカージャーナリスト)