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元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

ケガ続きの冨安健洋は“屈強な肉体”を手に入れて3年後のW杯で眩い輝きを放つ

公開日: 更新日:

冨安健洋(アーセナル/DF/24歳)

 ドイツを筆頭に強豪撃破が続いている第2次森保日本。チームの機運を大いに押し上げているのが、冨安健保の完全復活だろう。

 第1次森保日本が発足した2018年に日本代表デビューし、19歳でDFの定位置を確保した男は「冨安がいれば日本の守備陣は10年以上安泰」と評されるほどだった。

 が、2021年以降はケガ続きで、カタールW杯も不完全燃焼。日頃は冷静な男が「ホント嫌になりますね」と失望感を露にした。

 それから10カ月。9月の代表シリーズで本領発揮した冨安の雄姿に森保一監督も心から安堵したはずだ。

「久しぶりに代表で先発した自分は『価値』を証明しなければいけなかった。代表から離れて存在感が薄れていたというか、忘れられた存在だったと思うので『欠かせない選手だよ』と示す必要がありました。それは周りに対してもそうだし、自分に対してもそう。しっかりと集中してやることができたと思います」

 9月のドイツ戦(ボルフスブルク)を4-1で完勝した後、冨安は久しぶりに清々しい表情をのぞかせた。

 それもそのはず。2021年夏の東京五輪から肝心なところでケガを繰り返し、まともに代表の試合に参戦できていなかったからだ。

 自身初のW杯だったカタール大会も、先発したのはクロアチア戦のみ。それもミスを連発するなど彼らしくないプレーに終始して「今大会はトップパフォーマンスを出せた試合がひとつもなかった」と吐き捨てた。

 その後もアーセナルで長期離脱を強いられ、ピッチに戻ってきたのは今季。英・プレミアリーグ開幕のフォレスト戦で40分間プレーし、続く21日のクリスタル・パレス戦で左SBで先発。とりあえずプレーできる状態にはなり、周囲をホッとさせたに違いない。

 ただ「代表でどうなのか」という懸念は少なからずあった。

 彼はドイツ戦、続くトルコ戦(ゲンク)でそれを完全に払拭した。「絶対にチームにいなければならないDF」だと再認識させたのである。

「欧州勢と敵地で連勝というのを当たり前にすべき」と語気を強める辺り、さすがは最高峰クラブでプレーする選手だ。その高いスタンダードが代表の基準になれば、キャプテン遠藤航(リバプール)の言う「2026年北中米・カリブ海地区W杯優勝」という大目標も夢ではなくなる。

 冨安が恒常的に使える状態でいてこそ、森保日本はトップ・オブ・トップを目指せるのだ。

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