ド軍の規律は大谷翔平とて独り相撲を許さない…エ軍とは違う、お目付け役のベッツは容赦なし!
言動全てがチームのカルチャー
6月上旬、いずれも接戦を落として4連敗を喫した際には試合後、ベッツを中心としたリーダーグループが選手のみのミーティングを開催。あらためてチーム方針の徹底を図るとともに、個人の成績にとらわれる選手を名指しで批判したという。
大谷が今季までプレーしたエンゼルスでは21年以降、登板時に打席にも立つリアル二刀流を容認された。チームとは別に独自の調整を任され、選手層が薄かったこともあり、エ軍首脳陣は休養の有無など全て大谷の意向に沿う形で起用した。わがままが許される環境だったと言っていい。
ネビン監督の命令に背いたこともある。
昨年6月のロイヤルズ戦では96球に達した七回に指揮官から交代を告げられると「ノー。これは僕の試合だ」と拒否して続投。結果的に8回無失点で白星を手にしたものの、108球を費やしたため、かえって大谷を続投させたネビン監督の采配に否定的な声が上がった。
大谷ありきの起用は球団の管理体制への批判も巻き起こした。今年7月下旬以降、足や指のけいれん、脇腹痛にも悩まされながら、投打にフル回転。すると8月下旬に右肘靱帯を損傷した。米国の医師からは、夏場の疲労がピークに達した上に、打者として出場し続けて投手としてのリカバリーがおろそかになったことが故障につながったとの声が出て、球団は釈明に追われた。それもこれも、球団が大谷主導の起用方針を容認した反動と見る向きもある。
米放送関係者がこう言う。
「全てが大谷中心だったエンゼルスとは異なり、選手層が厚く常勝軍団のドジャースで好き勝手は許されない。大きな重しになるのがベッツです。ベッツは来季から自身の希望もあって右翼から二塁にコンバートされ、間近で投手の状態を把握できるようになる。大谷が投手に復帰する25年以降、いくら長いイニングを投げたいと思っても、ベッツはマウンド上で少しでも異変を察知し、それがチームの勝利に影響すると判断すれば、指揮官に交代を進言するはずです。フォア・ザ・チームが信条のベッツは大谷であっても独り相撲を許さないでしょう」
ドジャースでは、時に自分の意に反する起用を強いられる可能性もある。ベッツらリーダーグループと積極的にコミュニケーションを図るのはもちろん、思い通りにならないことへのフラストレーションともうまく付き合う必要がありそうだ。