MLBで「ロボット審判」の導入が遅れている本当の理由…賭博が絡む構造的問題の根は深い
現在の大リーグ機構が進める施策の一つに、収入源の多角化と収益力の向上がある。
この事実は、今年5月にコミッショナーのロブ・マンフレッドが大リーグにおける、いわゆるロボット審判の導入の時期を、当初予定していた2025年ではなく26年以降に延期する方針を示唆した意味を理解するために重要だ。
機構が将来の大リーグへの導入に備え、独立リーグと提携して試験的にロボット審判を採用したのは2019年のことだった。これは、連邦最高裁が連邦法によるスポーツ賭博の禁止を解除することを決定した翌年に当たる。
1919年のワールドシリーズで起きたブラックソックス事件によって信用を失墜させた球界は、1989年に野球賭博を行ったことが明らかになったピート・ローズを永久追放にするなど、賭博に対し厳格な態度で臨んできた。連邦法がスポーツ賭博を違憲としたことは、機構の政策を後押しするものでもあった。
しかし、スポーツ賭博が全国的に解禁された以上、他のプロスポーツが賭博の対象となることを解禁した場合、従来の方針を維持することは大リーグだけが取り残されることを意味する。