史上初の女性&アフリカ出身会長の誕生でオリンピックはどう変わるか…予想を覆す劇的勝利の要因と今後
敗れた6人の立候補者にもコベントリーは寛容だろう。彼らのマニフェストは五輪の未来に向けて有益な提言があふれていた。エリアシュやコーの新しい資金調達策、ファイサル王子の気候変動に順応する五輪開催期の見直し、ラパルティアンの「スポーツで平和」を促進する「平和賞」創設……。世界のメディアを驚愕させた、渡辺の五輪五大陸同時開催案も例外ではない。五輪肥大化と経費増大を解決する妙案だ。それは日本人初のIOC会長という果敢なチャレンジと共に、世界の目を日本に向けさせた。東京五輪汚職と札幌冬季五輪辞退でマイナスイメージがはびこる日本にとって一時の救いだった。
本年6月23日のオリンピックデー(IOC創設記念日)に誕生する新たなリーダーシップが、世界の分断を救済する道を歩むことを期待すると共に、渡辺がそれを支えていく姿を望みたい。世界と日本のために。 =敬称略